最近の IDC の調査によると、生成 AI を使っている企業は、支出 1 ドルあたり平均 3.7 倍の投資収益率 (ROI) を実現していることが明らかになりました*。マイクロソフトの委託による「AI のビジネス機会」調査では、今後 24 か月以内に、より多くの企業が AI エージェントを含むカスタム AI ソリューションを構築する予定であることもわかりました。これらの調査結果は、優れた ROI を達成し、業界のトレンドを先取りして、高度な AI に対する顧客の高まる需要に対応するために、今すぐ AI に投資することの重要性を明確に示しています。
ソフトウェアを提供するパートナー (独立系ソフトウェア ベンダー (ISV) とも呼ばれます) は、マイクロソフトの開発リソースの力を活用して、Microsoft 365 Copilot でエージェントを開発することで、AI イニシアチブを迅速に始めることができます。この点について、デジタルおよびアプリ イノベーションにおけるマイクロソフト ソリューション パートナーである Solutions2Share の事例を通して説明します。
Copilot スタックを活用した Teams Manager エージェントの構築で開発を効率化
ドイツに拠点を置く Solutions2Share は、Microsoft 365 製品のガバナンスと管理のためのアプリを開発しています。同社がヨーロッパ全土に抱える数百の企業顧客は、デジタル コラボレーション ツールにマイクロソフト製品を利用しています。
マイクロソフトとの戦略的連携を踏まえて、Solutions2Share はすぐに Copilot を採用し、顧客が Copilot をうまく使用できるようにすることを目指しました。まずは、Copilot エンジン上で動作する宣言型エージェントを構築することにしました。これにより、組み込みのオーケストレーターと大規模言語モデル (LLM) を活用できるようになりました。宣言型エージェントとカスタム エンジン エージェント (プライベート プレビュー版) の詳細と、それぞれのビルド タイミングのガイダンスについては、Microsoft Ignite のこちらのブログ記事をご覧ください。
Solutions2Share では、Copilot スタック上で構築することで開発プロセスが効率化されました。
「LLM の責任者でなければ、技術的な詳細すべてを監視する必要がないため、重要なリソースを節約できます」と、Solutions2Share の最高技術責任者である Bastian John 氏は述べています。「Copilot フレームワークを信頼して、ビジネス ロジックとユース ケースの改良に集中するだけでよいのです。」
同社は、企業がライフサイクル管理、ガバナンス、テンプレートなどを使用して Microsoft Teams 環境を管理するのに役立つ優れたアプリである Teams Manager で、メッセージ拡張機能を使用して、開発を開始しました。既存のメッセージ拡張機能を使用して構築することで、Solutions2Share は Teams Manager エージェントを迅速かつ簡単に公開することができました。現在、AppSource で入手できます。
このエージェントを利用すると、従業員は自然言語とメタデータを使って、Copilot に特定の Teams チャネルを見つけるように依頼し、その結果を同僚と簡単に共有できます。これは従業員の時間を節約するシンプルながらも価値のあるユース ケースで、Copilot が Microsoft 365 アプリ全体でこうした要求を処理できるため、従業員は業務の流れを変えずに済みます。従業員と Teams Manager エージェントとの間でのこのコラボレーションは、IT スタッフへのサポート リクエストを抑え、IT スタッフがより価値の高い作業に集中できるようにするのにも役立ちます。
このエージェントを無事に公開した現在、Solutions2Share は Teams AI ライブラリを使用して、新しい高度な機能の追加に向けて取り組んでいます。2 月末に公開予定の次のリリースでは、ユーザーが Copilot に Teams チャネルの作成を依頼でき、エージェントが適切な情報、テンプレート、プロジェクト メンバーを取り込むようになります。
Solutions2Share が市場の需要に応えるのに役立っている Microsoft 365 認定資格
セキュリティは Solutions2Share にとって重要な要素です。多くのヨーロッパ企業は、特に AI のような新しいテクノロジについて、他の機能を検討する前に、製品のセキュリティ、プライバシー、データ保護機能が規制要件を満たしていることを確認したいと考えています。マイクロソフトは、AI 機能に関する堅牢な保護手段を活かして、パートナーがこれらの懸念を克服できるように支援しています。たとえば、Microsoft 365 Copilot は、一般データ保護規則 (GDPR) や欧州連合データ境界など、マイクロソフトの既存のプライバシー、セキュリティ、コンプライアンスに関するコミットメントに準拠しています。
Solutions2Share は、さらに一歩進めて、Teams Manager の Microsoft 365 認定資格を取得しました。これは、エージェントを現在の国際的なセキュリティ、コンプライアンス、データ処理要件に合わせて調整している Solutions2Share の取り組みをサポートするだけでなく、エージェントに対する顧客の信頼を築くことにもなっています。
「『Teams Manager がこれらの厳格な基準を満たしているとマイクロソフトが認定しているため、信頼していただけます』と言えることは、当社にとって非常に強力です」と Bastian John 氏は述べています。「これは、お客様の取り組みにおいて大きな一歩となります。」
潜在顧客は、AppSource と Teams ストアでフィルターを使って、Microsoft 365 認定資格を取得しているアプリとエージェントのみを表示できるため、管理者との信頼関係を築くのにも役立ちます。
Solutions2Share、ベストプラクティスを活用してエージェントの採用を促進
エージェントが Microsoft コマーシャル マーケットプレースに公開されると重要になるのは、エージェントが提供できる価値を顧客に示すことです。Solutions2Share は、1 つの方法として積極的なカスタマー サクセス プログラムを通じて Teams Manager を採用するよう働きかけており、その中でクライアントと定期的にミーティングを行い、アプリや新しいリリースについて最新情報を提供しています。
こうしたミーティングでは、エージェントを紹介し、何ができるかを説明して、機能のデモを行います。このようなライブ デモはクライアントの環境で実施するため、Microsoft 365 アプリからエージェントを呼び出す方法や組織の知識を活用する方法について、実践的かつ顧客中心に確認してもらうことができます。Solutions2Share は、これらのセッションの場で、Copilot を採用することで得られる生産性の向上を強調しています。企業が Copilot を日常の習慣に組み込んでいる場合、Teams Manager エージェントを使用する可能性がはるかに高くなることを認識しているためです。
「AI テクノロジは仕事を一変させています」と Bastian John 氏は述べています。「Copilot を使った当社の日常業務や、お客様の日常業務に導入することが重要です。そうすれば、新たな市場を開拓することができます。」
AI エージェントの構築を検討している他の ISV パートナーに対して、Solutions2Share は、コアとなる顧客プロファイルに焦点を当て、Copilot の拡張による追加機能で最適に解決できる問題を中心にユース ケースを作成することをお勧めしています。その上で同社のアドバイスはシンプルです。何はともあれ、まずは構築を始めましょう。
Microsoft AI Cloud Partner Program は、AI エージェントを効果的に構築およびデプロイするためのツール、リソース、サポートを ISV に提供します。主な特典として、Azure クレジット、テクニカル トレーニング、ISV サクセス プログラム、Azure AI Services や Microsoft Copilot Studio などの AI サービスへのアクセスが含まれます。また、パートナーは、Go-To-Market サポート、共同販売準備支援、イノベーションを加速するための資金調達の機会も得られます。さらに、このプログラムは、活気に満ちたパートナー エコシステム、テクニカル コンサルティング、限定イベントを通じてコラボレーションを促進し、ISV が AI 主導の市場で成功をつかむうえで役立ちます。最新の ISV ニュースをお読みになり、今後予定されている変更について最新情報を入手し、マイクロソフトのプログラムやリソースを最大限にご活用ください。
Solutions2Share、Teams Manager、Copilot のエージェントについての詳細
Copilot と Solutions2Share の詳細については、以下のリンクにアクセスしてください。
*IDC インフォブリーフ (マイクロソフトが委託)、「2024 年 AI のビジネス機会」、IDC# US52699124、2024 年 11 月