目まぐるしく変化する今日のデジタル環境において、マイクロソフト パートナー エコシステムは、AI を活用して業界をリードし、イノベーションを受け入れ、エンタープライズ顧客に変革的な成果をもたらす "フロンティア企業" (Frontier Firms) を構築するための原動力となっています。これを示すために、Enterprise Partner Solutions (EPS) アジア地域リーダーシップ チーム (RLT) は、Frontier Forward: Asia Edition を開始しました。この新シリーズでは、パートナーがアジア全域でどのようにインパクトのあるソリューションを創出しているかに焦点を当てています。
Frontier Forward シリーズについて
主要パートナー企業の経営層へのインタビューを通じて、エンタープライズ顧客にとって価値のある共同イニシアチブの成功事例や、具体的な成果をご紹介します。パートナーがどのように変革を加速し、顧客価値を創出する戦略を開発してきたのか、このシリーズでご確認ください。
エピソード 1 : AI に関する KT Corporation の取り組み
第 1 回となる本エピソードでは、KT Corporation (旧 Korea Telecom: KT) の Go-to-Market (GTM) 部門責任者である Jeon Seung-rok 氏にお話を伺い、KT と Microsoft がどのように協力し、AI とクラウド技術を通じたビジネス変革に取り組んでいるかを探ります。
今回のインタビューの主なポイント
- SPARK フレームワーク: KT の GTM 組織は、業界全体で AI 主導の変革を進めるために、Strategy、Product、Alliance、Readiness、Knowledge から成る SPARK フレームワークに従っています。
- Microsoft 365 Copilot の大規模展開: 現在 10,000 名の KT 社員が、生産性向上のために AI エージェントを活用しています。
- カスタマー ゼロ アプローチ: 自社における AI 活用の取り組み内容を共有することで、KT は顧客に対し、よくある落とし穴を回避し、導入を加速するための洞察を提供しています。
- 規制障壁の突破: GitHub Copilot が韓国の金融セクターに導入され、規制順守への新たな対応例を築きました。
- 顧客中心の成果: KT と Microsoft の連携がもたらす成果として、eコマースと化粧品分野での大きな成功例があります。
- 規制対応のファスト トラック: KT の取り組みでは、金融および公共セクター向けのサンドボックスを設け、進展とコンプライアンスの両立を後押ししています。
KT が自社と顧客のため AI の最前線をどのように切り開いているかについては、下の動画または全文書き起こしで、さらに詳しくご確認ください。
最新情報の入手
地域全体でイノベーションを推進するマイクロソフト パートナーによるストーリーをもっと知るには、「Frontier Forward: Asia Edition」を引き続きご覧ください。
全文書き起こし:
免責事項: この書き起こしは AI 生成によるものであり、誤りが含まれている可能性があります。正確な内容については、元の音声または台本をご確認ください。
Ungse Lee:
Seung-rok さん、こんにちは。お会いできて嬉しいです。まず、このインタビューをお受けいただきありがとうございます。簡単に自己紹介をお願いいたします。
Jeon Seung-rok:
皆さん、はじめまして。Microsoft チームの皆さん、こんにちは。KT の戦略事業コンサルティング部門で、Go-to-Market (GTM) 部門の責任者を務めております、Jeon Seung-rok と申します。
Ungse Lee:
GTM 部門という名前が出てきました。GTM という事業部門が具体的にどのようなことをしているのか、少しお話しいただけますか?
Jeon Seung-rok:
はい、GTM 本部は Microsoft の Go-to-Market と似ていますが、KT ではより広い役割を担っています。私たちのミッションは SPARK と定義されています。この 5 つのミッションを説明すれば、私の担当業務をご理解いただきやすいと思います。まず S は Strategy (戦略) です。戦略としては AICT の戦略的マーケティングを導入し、実行しています。次に P は Product (プロダクト) です。市場投入できるように、AI によって変化/変革した製品やサービスを定義しています。A は Alliance (アライアンス) です。会社全体でさまざまな変化が起きているため、部門ごとにバラバラに動くのではなく、複数の部門が足並みを揃えて進められるよう、GTM 本部が横断的な調整を行っています。R は Readiness (レディネス) です。GTM 本部は従来の CT 事業や PECO 事業には注力せず、AICT 事業の準備を進めています。最後に、K は Know-how/Knowledge (ノウハウ/知識) です。GTM 本部は、優れたソリューションやオファーを資産として創出/再販し、さまざまな形で展開していく役割を担っています。つまり、KT の GTM 本部は Microsoft の GTM の役割に加えて、プリセールスとして製品やサービスを定義する役割も果たしています。
Ungse Lee:
SPARK という名前は本当に印象的ですね。これはあなたが命名されたのですか? それともチームから出てきたアイデアですか?
Jeon Seung-rok:
この組織を最初にチームと一緒に立ち上げたとき、みんなで集まって自分たちのミッションを決めました。今年、1 月のことです。1 月のスタートに向け、その前の 12 月に集まって、どのようなミッションにするかを皆で話し合い、この名前にしました。
SPARK には、AX ビジネスの根幹となり、それを推進していくという意味があります。
Ungse Lee:
なるほど。では、本題に入りましょう。まずは、Microsoft Cloud の AI イノベーションに関する最近の事例について伺いたいのですが、いくつか教えていただけますか?
Jeon Seung-rok:
はい、先週と昨日、WinWire が参加しました。韓国最大の化粧品会社です。
社名を言ってよいのか分かりませんが、WinWire は韓国最大手の化粧品メーカー A 社です。その会社が KT を選んでくれました。当然ながら、Microsoft の M365 Copilot と Microsoft のデータ サービスが 2 件の受注につながったのです。勝因を振り返ると、同社はこれまでにもさまざまな取り組みをしてきましたが、チェンジ マネジメントや導入面で多くの課題があったようです。どれだけ多くの AI サービスを投入しても、従業員が実際にそれを自分の業務に応用し、活用できるかどうかについては多くの疑問がありました。
KT については既に、貴社にいろいろとお話ししました。まず、全従業員に各自で M365 Copilot を導入し、独自のエージェントを作成して使っていただきました。これにはほぼ 1 年かかりました。
この件を貴社にお伝えしたことで、皆さまにご信頼いただき、Microsoft の製品やサービスをご紹介する機会につながりました。そのような事例がありました。
もう 1 つの例として、数週間前にお話しした案件があります。Microsoft は韓国の e コマース顧客に対して多くの取り組みをしてきましたが、これまで AWS を超えることができていませんでした。
そこで、KT と Microsoft は農業系の e コマース モールを基盤とする水産物関連ビジネスをご提案し、受注することができました。私の知る限り、これは Microsoft Korea における最大規模の e コマース案件です。勝因を振り返ると、私たちは "顧客のビジネスにフォーカスする" という原則をより重視していたと思います。ある種、こだわり続けていたと言えるほどです。お客様は、自社が抱える MD 業務の変革について、多くの懸念を持っていました。私たちは、その業務に即したさまざまな提案や見解を示すことで、受注につなげることができました。
最後に、非常に意義のある案件があります。金融業界の歴史で初めて、GitHub Copilot を提案し、KT が自信を持って提供できた事例です。これはつまり、韓国ではシステム レベルが非常に高度であり、きわめて厳しい規制も存在する中で、開発者が Copilot のような AI 機能を実際に使えるようになった、ということです。このような土台が整ったという点に大きな意味があります。
Ungse Lee:
最も印象的なのは、KT の "カスタマー ゼロ" の取り組みが非常に強い説得力を持っているという点です。KT の場合は情報量が豊富で、その内容も非常に強力です。KT では、約 10,000 名の社員が Copilot を使い、AI エージェントを活用して業務の大半を変革しています。お客様にこのような取り組みについてお話しすると、はるかに直接的かつ効果的に伝わるように感じます。
KT の今後に向けて、戦略を強化しているおられると思います。その部分についてもう少しご説明いただけますか。
Jeon Seung-rok:
はい、そのとおりです。KT 自体が事業の本質を変革している最中です。もともとはネットワーク回線を中心とする事業です。このような従来の通信事業の上に AI を重ね、製品やサービスの方向性を転換し、ICT 企業として生まれ変わるためのミッションを定め、それを実行しています。変化はすぐに起こったわけではなく、即座に事業へ適用できたわけでもありません。さまざまな試行や試行錯誤を通して KT が蓄積してきた経験が、実は非常に貴重な資産になっています。あらゆるお客様が AI や AI による変革を語りますが、導入の際に遭遇する困難や課題を体験していないと、準備は容易ではありません。
私たちは、自社での経験、すなわち "カスタマー ゼロ" という考え方に基づき、同じ失敗を繰り返さないよう、失敗から得たノウハウや教訓をすべてお客様に公開しています。負担やリスクを最小化する方法を提案できたことが、お客様にとって最も有益だったと思います。
ですので、業務の進め方を変え、実際に業務で AI を活用しているという話は、お客様にとって訴求力のある内容だったと思います。ここから先は "規制" の領域になります。多くのアジア諸国で規制機関や監督主体が増加する中、自国のデータを保護し主権を強化する動きがあります。これは向かい風ということになります。サービスを使いたくても、規制に縛られて利用できないという状況です。KT は、この規制を突破するために大きく貢献しています。たとえば、Regulation Fast Track という TF チームを設置し、国内で規制が特に厳しい金融/公共分野のお客様向けに、規制サンドボックスを運用しています。この規制サンドボックスは、KT だけでなくお客様も利用できるように設計し、お客様が使おうとしている規制の正当性を確認し、安全性を証明できるようにしています。Regulation Fast Track を通じて確立された規制対応の知見や手法は、他の産業にも応用され、事前に共有される形で活用されています。こうした観点から、KT と Microsoft の協働とパートナーシップによる相乗効果は、ますます大きくなっていると考えています。
Ungse Lee:
はい、今おっしゃったことに全面的に同意します。実際、Microsoft が望む "真のパートナーシップ" がついに、KT との間で形になってきている、という強い確信があります。では次の質問に移ります。Microsoft と契約してからまだ 1 年も経っていませんが、KT は Microsoft との協業に集中的に投資し、取り組まれていますよね。その一方で、いろいろ大変なこともあると思います。Microsoft と協働する中で経験した困難と、それをどのように乗り越えてきたのかについてお話しいただけますか。
Jeon Seung-rok:
はい、最大の難関はオペレーションでした。KT が Microsoft 対応のオペレーションを迅速にこなすには、あまりに準備期間が短すぎたのです。実際に Microsoft のパートナー オペレーションを体験してみると、スムーズにいかない部分がかなりありました。その部分を調整するプロセスには、実際に長期間を要したと記憶しています。いろいろとガイダンスはいただいていますが、システム、サービス、ツールがもっと安定的であるべきだと思っています。2 点目ですが、KT が Microsoft のパートナーとして事業を進める中で、社内の既存事業の担当部門との衝突も少なからず生じました。これは長期間にわたって続いている課題であり、新しいアライアンスの存在と、既存の営業ラインやアカウント マネージャーが考える "パートナーとの既存の関係性" との間で、多くの対立が生じています。実際、そうした困難は多く、今でも起こることがあります。しかし、私たちのミッションは共により大きな市場を開拓することであり、それが信頼に基づくものであれば、これらの課題はすべて乗り越えられると考えています。
Ungse Lee:
貴重なお話をありがとうございました。では、最後の質問に移りたいと思います。
この動画をご覧になっている多くの方々に伝えたいメッセージがあれば、最後にぜひお願いします。
Jeon Seung-rok:
そうですね。私たちはいま、互いの信頼を基盤に、これまで想像もしなかったような多くの取り組みを進めています。
まず、心から感謝を申し上げたいと思います。もし最後に伝えたいことを 1 つだけ挙げるとすれば、Microsoft がパートナー共に築いてきた大きな成果は、何十年にもわたって響き続けているエコーのようなものだ、という点です。しかしアジア市場に目を向けると、主要な大手パートナーによって成長の勢いが生まれてきた例は、数か国を除けば、それほど多くなかったのではないかと思います。つまり、まだ成熟していなかった市場では、実際にこの役割を担ってきたのは中小規模のパートナーでした。このため市場の成長速度には限界があったと思います。私の最後のメッセージですが、KT は最も信頼できるパートナーであり顧客です。しかし、私たちが共に開拓できる市場は、もっと広く、もっと大きいはずです。この取り組みが確実に成果につながるよう、社内のさまざまな部署にも引き続き目を向け、今まで以上にしっかり支援していただければ、新たな勢いが生まれ、弊社と Microsoft が共に、より大きな市場を創出できると考えています。さらに、1 つの国で 1 社のパートナー、つまり "象徴的なパートナーシップ" が生まれるだけでなく、それがより多くの国に広がり、各国の AI 発展に寄与できることを願っています。
Ungse Lee:
はい、非常に重要なポイントだと思います。Microsoft と KT で、これからも共に歩んでいきましょう。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
Jeon Seung-rok:
ありがとうございました。